カラダ探し~第ニ夜~
視聴覚室のドアはひとつしかなくて、生徒会室の西側の入り口の少し東寄りにある。


西側の入り口から、東側にゆっくりと移動し、そっとドアを開けた。


相変わらず、ドンッという音は聞こえるけど、室内にいるのなら今が出るチャンスだ。


ドアの隙間から廊下に出た私は、背後に感じる恐怖に耐え切れず、階段に向かって駆け出した。


履いている靴が、スニーカーで良かった……。


革靴だったら、きっと、その足音で気付かれてしまうから。


T字路まで来る事ができた私は、廊下の突き当たりにある階段へと走った。


ここまで来れば、とりあえずは大丈夫だよね。
と、気を抜いたその時だった。


スニーカーが床に擦れて、キュッという音を立て……背後から聞こえる「赤い人」の歌声がやんだのだ。


しまった……気を付けていたつもりだったのに、こんな所で音を立ててしまった。


声が聞こえなくなったという事は……「赤い人」に気付かれたの?


これ以上音を立てないようにと、階段の手前で動きを止めていた私は、そっと一歩踏み出した。









大丈夫……かな?










そしてもう一歩、階段の一段目に足をかけたその時。
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