カラダ探し~第ニ夜~
今日、通学路で私の前を歩いていた浦西翔太。


伊勢が明日香を抱き締めた時に、キャーキャー騒いでいた柊 留美子。


そして私の3人が反応しただけで、他の人は不思議と無反応。


教室の中で男子が女子に抱き付いたら、普通なら騒ぎ立てないはずがない。


授業中も気になって伊勢の方を向いてみるけど、その伊勢は、ずっと明日香の方を向いている。





「カラダを探して……かぁ」


伊勢に送ったメールを何度も見ながら、やっぱり送信するべきじゃなかったと、私は後悔していた。


あれだけ激しい音楽が流れたのに、私のメールに気付いてくれていない。


それに、明日香も悪い冗談を言うよね。


これじゃあ、まるで「カラダ探し」を頼まれたみたいじゃない。








……あれ?


もしかして、昨日、伊勢が明日香を探していたのは、それが理由なのかな?


明日香が「赤い人」を見て、振り返ってしまって……。


実際に、私は昨日「赤い人」を見た。


もしも、噂話がすべて本当の事だとすると、明日香はすでに殺されていて、私は「カラダ探し」を頼まれた。


そう考えると、すべての事がつながる。


頭の中のモヤはまだ晴れないけど、伊勢のさっきの言葉を聞く限りでは、そう思えてならなかった。
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