幼なじみがバスケ部に入った訳
「ねえねえ!
今ね、池田君に告った子から聞いたんだけど!!」
イノシシみたいな勢いで教室に入って来た友達・優香。
調度私と紗理奈の間に立った優香は、
座っている私たちに合わせて腰を屈めた。
「告った子って、振られた子?」
紗理奈がそう聞けば、優香は呼吸を整えながらコクコクと頷いた。
振られた子に何を聞き出したのか分からないけど、
中々酷な事をしてきた友人に、私は姿を知らない振られた子を哀れに思った。
「池田君ね!好きな子居るんだって!」
イノシシ優香の一言は、あまりに大きくて……
他の会話をしていた他の女子が耳をダンボにさせて優香を見た。
凄い…私は人の耳がピクピクッて…しかも団体でピクピクッて動くのを初めて見た!
ってそれどころではなくて……
「好きな子…居るんだ」
私の心から何かがスッと抜けていく感触。
でも、失恋した時ってこんな感触なの?
『そっか~失恋か』と思っても、
何だか………
そう、例えるならば…
読んでいたマンガ本が連載を終えて全部読み終わった時みたいな……
寂しいような…でも『しょうがないね』って思える感じ。