幼なじみがバスケ部に入った訳



「ハイハイ。愛唯が池田好きなのは分かってるけどさ、

アイツ…ただのバスケ馬鹿だぞ?」



呆れた顔で私に言う葵。






初めて体育館に行った日の帰り道。

私は葵に『あの綺麗なシュートしていた人は誰?』と池田君の名前を聞いた。


興奮気味に聞いた私に対して冷静な葵は直ぐに、

私が池田君に一目ぼれした事に気づいて、

『は?あいつのどこが良いの?』と顔を顰めて言った。


きっと『お前みたいなただのチビ、アイツが振り向くわけない』って言いたかったのだろうけど、

私は見ているだけで……池田君のシュートを見ているだけでドキドキしていっぱいいっぱいだったから………ただそれだけで良かった。



そんな訳で、池田君にフォーリンラヴした事が初日で葵に知られた私は、

葵を待っている振りをして、放課後の体育館に通うようになった。





「『ただのバスケ馬鹿』って言うけどね!あのシュートを見たら女子はズギューンと来るの!

男の葵にはわからないだろうけど!葵が女だったら絶対に池田君の事好きになってたよ!」



私が強く言えば、一瞬黙った葵は

「うげ…気持ち悪…」

と、どうやらご丁寧に自分が女になったところを想像したらしい。



「あーあ、葵が女の子だったら『キャーキャー』言いながら池田君の事盛り上がれたのに…」



私がため息を吐きながら言えば、葵は呆れた顔をしてため息を吐いた。








「お前と同性とか冗談じゃない…」



私とキャーキャー騒ぐのがそこまで嫌なのだろうか…




 
< 7 / 32 >

この作品をシェア

pagetop