優しい風の中で
早朝の風を受けて、ピントを合わせる。


その時だった。


ファインダーの中に、"何か"が見えた。


ひらひらしていて、白い――。

思わずカメラから顔を離した僕の目の前に、彼女がいた。
この季節には不釣り合いなくらい白いワンピースが、気持ち良さそうに風になびいていた。


「写真を撮ってるの?お兄さん」

声が涼しいな、というのが第一印象。

そして。

「あたしも撮って?」

笑顔がかわいいな、というのが第二印象。
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