優しい風の中で
【3】
そして、今日に至る。
「綺麗。桜吹雪みたい」
「これが、君の言ってた花?」
「うん」
優しい風に、粉雪が方向を定めないまま宙を舞う。
それはまるで、もう2か月もしないうちに咲く、あの花のようで。
「桜は、2回咲くの」
なんて言ってる彼女の肩に、ひらひら落ちてくる白い花びら。
「欲張りな君らしい考えだね」
そう笑って僕はファインダーを覗く。
「でしょう?」
彼女も笑って、触れると消えてしまう花びらに、そっと手を伸ばす。
「僕も欲張りなんだ」
シャッターを下ろしながら、彼女に言った。
「春になったら、"君と桜"を撮りに行こう」
やがて桃色の花が咲き、触れても消えない花びらが宙を舞い始めた頃。
僕の部屋の壁には、白い桜と驚き顔の彼女が写る写真が飾られることになる。
【終わり】
「綺麗。桜吹雪みたい」
「これが、君の言ってた花?」
「うん」
優しい風に、粉雪が方向を定めないまま宙を舞う。
それはまるで、もう2か月もしないうちに咲く、あの花のようで。
「桜は、2回咲くの」
なんて言ってる彼女の肩に、ひらひら落ちてくる白い花びら。
「欲張りな君らしい考えだね」
そう笑って僕はファインダーを覗く。
「でしょう?」
彼女も笑って、触れると消えてしまう花びらに、そっと手を伸ばす。
「僕も欲張りなんだ」
シャッターを下ろしながら、彼女に言った。
「春になったら、"君と桜"を撮りに行こう」
やがて桃色の花が咲き、触れても消えない花びらが宙を舞い始めた頃。
僕の部屋の壁には、白い桜と驚き顔の彼女が写る写真が飾られることになる。
【終わり】