氷と風
そんな時に私は先生に出会った。
私は元々大学院で国文学を勉強していた。
古文と歴史が好きだったので、大学4年間じゃ足りなくて、結局大学院にまで進んでしまったのだ。
大学院はとても有意義だったのだが、就職戦争には負けてしまった。やはり自分の研究分野での就職は難しかった。
このまま研究内容とは全く異なる職種に就職してしまおうかと思っていたところに、教授から思いもよらない話をされた。
『白井、こんないい話は他に無い。やってみないか』
それがこの上月先生の助手、というポジションだった。
大体、理科のことなんて全く分からないのに、どうして私がこの人の手伝いをするのだろう。
最初の疑問は彼に会ってすぐ解決した。
要はこの人、自分の聖域を荒らされるのが嫌なのだ。
もし私が彼の研究分野に詳しかったら、その時点でアウトだったはずだ。
何も知らない素人をそばに置くことによって、自分の全ての研究を守ろうと思っているようなのである。
私は元々大学院で国文学を勉強していた。
古文と歴史が好きだったので、大学4年間じゃ足りなくて、結局大学院にまで進んでしまったのだ。
大学院はとても有意義だったのだが、就職戦争には負けてしまった。やはり自分の研究分野での就職は難しかった。
このまま研究内容とは全く異なる職種に就職してしまおうかと思っていたところに、教授から思いもよらない話をされた。
『白井、こんないい話は他に無い。やってみないか』
それがこの上月先生の助手、というポジションだった。
大体、理科のことなんて全く分からないのに、どうして私がこの人の手伝いをするのだろう。
最初の疑問は彼に会ってすぐ解決した。
要はこの人、自分の聖域を荒らされるのが嫌なのだ。
もし私が彼の研究分野に詳しかったら、その時点でアウトだったはずだ。
何も知らない素人をそばに置くことによって、自分の全ての研究を守ろうと思っているようなのである。