キライだから傍にいて
 そして。


 ――私は。


 私は、いつのまにか兄貴がいない生活が考えられなくなっていたんだね。

 兄貴がずっと傍にいてくれないと、ダメみたいなんだ。

 兄貴がずっと傍にいて、私にこき使われてくれないと、ダメみたいなんだ。

 私は兄貴に依存している。

 私は兄貴に執着している。

 私は兄貴に独占欲を抱いている……。

 いつの間にか、傍に兄貴がいないと何も出来ないことに気が付いた。

 なんでもかんでも、“こき使う”と称して兄貴にさせていたから。

 だから兄貴は、なんでも出来る“完璧”に近い存在になったのかもしれない。

 それでもやっぱり、私はそんな兄貴がキライ。ダイッキライ。

 だからこそ余計にこき使う。


 ねえ。

 ――キライだから傍にいて。


END.





 しばらくして、兄貴は裕美さんと別れた。

 なんでもフラれたそうな。

 ぷっ、あっはは!

 フラれてやんのー!

 ざまをみろ、兄貴!


 ――でも、これで。

 また私のところに帰ってきてくれるね?

 ダイッキライな兄貴。
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