キライだから傍にいて
「兄貴。ジュース買ってきて」
「あっ、お菓子もね」
「言っておくけど、最新作のやつ」
「ついでに言っておいてあげるけど、兄貴のお金でね」
だから私は、いつもいつも、暇さえあれば、兄をこき使っている。
使って“あげている”。
私みたいなかわいい妹がこき使ってあげているんだから、感謝しなさい。
兄はむすっと、あからさまに不機嫌そうな表情をした。
「ちょっとごめんな。――俺、今、理香子と電話してるんだけど?」
リカコ……新しい彼女?知らないわ。兄貴の都合なんて。
兄貴は有無を言わずに私の言うことをきいていればいいのよ。
そう。私だけの言うことを聞いていれば、それでいいのよ。