キライだから傍にいて

「い・い・か・ら、す・ぐ・に・買っ・て・き・て、」

「じゃないと――その電話の相手のリカコさん、殺しちゃうよ?」


 兄貴は溜め息を吐いたかと思うと、再び携帯電話の受話器を耳に当てた。


「わりぃ。ちょっと用事が出来たから、切るわ。……ああ。……ん、またな」


 “またな”、ねぇ。

 私に殺されたくないなんて、よっぽどそのリカコさんが大切なのね。

 いいわ。今度からリカコさんをネタに兄貴をこき使ってあげる。

 何かあるごとにリカコさんの名前を出して、脅してあげる。

 ふふふ、私は、兄貴が私の言うことを聞いてくれさえすれば、何もいらないの。

 リカコさんが死のうが、私には関係ないの。
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