キライだから傍にいて
 そっか。そうだったんだ。

 今まで私が彼女だと思っていた人達も、昨日電話していたリカコさんも、兄貴の彼女じゃなかったんだ。

 ただの女友達。

 私の思い違い。

 兄貴は、私の知らないところで、ちゃんと彼女が出来ていたんだ。

 郷田 裕美さんという、女性が。

 胸が急激に痛くなって、私の目に涙が溢れた。

 今までずっとこき使ってきただけに、自分の言うことをきくオモチャだと思ってきただけに、自分のモノじゃなくなるような、そんな気がして。

 兄貴をとった裕美さんを酷く憎むのと同時に、私のもとから離れていく兄貴を恨んだ。

 裕美さんなんかキライ!

 兄貴なんか、ダイッキライ!
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