キライだから傍にいて
「おっ、おい。深奈……」

「ほら、そんな女なんておいて、さっさとジュース、買ってきて」

「深奈……」

「キビキビと動いてよね。じゃないと、私、裕美さんのこと殺しちゃ……――」


 パチンッ。

 乾いた音が部屋の中に響いた。

 ほっぺたがジンジンと熱を持ち出して、痛くなる。

 私は兄貴に叩かれたんだ。


「いい加減にしろっ!裕美を傷付けるようなら、たとえ深奈でも俺は許さないからな!」

「……――」


 ――どうして?

 どうして、私よりそんな幸薄そうな女の方を選ぶの?

 だって兄貴は私の奴隷でしょ?言うことをなんでも聞いてくれる奴隷でしょ?

 それなのに、どうして私のもとから去っていってしまうの……?
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