大野先輩が好きなんです‼︎【短】
「大丈夫…、じゃないね。痛かったろ」



そう言って優しく撫でてくれた、陽希先輩の手。



今までジンジンとして痛かったのに、陽希先輩に撫でられると治った気がしてくる。



誰もいなくなった、体育館。



白石キャプテンも帰ってしまったらしく、シーンとしていた。



「その腕じゃ、今日は掃除無理そうだから職員室行こうか」



「は、はい…」



バケツと雑巾を右に持ち、左はわたしの手を握り職員室まで来た。



その間もずっとドキドキが止まらなくて、変な呼吸になっていた。



「藤堂先生います?」



ドアを開け、真っ先に読んだ名前。



え、もしかして分かってて言わないでいてくれたの、陽希先輩…。



勝手に解釈をして、キュンとなった。



「おー、どした大野。ん?矢野、お前もう終わったのか?」



藤堂先生の言葉に、ビクリとした。



「あー、いえ。ちょっと色々ありまして、矢野さんケガしちゃったんで。床掃除は、ケガが治ったらにしてほしくて」



何も言えないわたしに、陽希先輩は細かいことは言わず言ってくれて。
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