大野先輩が好きなんです‼︎【短】
藤堂先生は、わたしの腕に目線を落とすと、「お前、それ…」と、言葉に詰まっていた。
明らかに誰かに、やられたとしか言いようがない爪痕。
「そういうことなんで。俺、矢野さん送りますんで」
陽希先輩はペコリと頭を下げると、「行くよ」と職員室を出た。
藤堂先生は、何か言いたげだったけど陽希先輩が強引に出たから聞かれずに済んだ。
「あ、あの。ありがとうございましたっ」
勢いよく頭を下げれば、「ぷっ」と笑った陽希先輩。
「あー、わりぃ。バケツしまいに行くか」
わたしはなぜ笑われたのか分からないまま、バケツと雑巾を返しに行った。
一年と二年の下駄箱はもちろん違う場所にあって、「じゃぁ、あとでここ来るから」という陽希先輩の背中に声を掛けた。
「あ、あの!大野先輩!わたしこの時間なら、一人で帰れますから!ホントに今日は、ありがとうございました!」
そう声を掛けると、一度下駄箱に向かって歩いていた陽希先輩がこちらに向かって歩いてきた。
ちょうど、ドアのところに立ってたわたしは、ドアに背中をくっつけるようにして陽希先輩を見上げる。
そしてゆっくりと陽希先輩の手が、わたしの顔すぐ横に手を付いた。
触れられたわけじゃないのに、全身がドキドキして動けずにいた。
いつも笑顔で優しい陽希先輩とは違う、真剣な顔付き。
「あ、あの…。大野先輩?」
陽希先輩より身長が低いわたしは、自然と上目になった。
明らかに誰かに、やられたとしか言いようがない爪痕。
「そういうことなんで。俺、矢野さん送りますんで」
陽希先輩はペコリと頭を下げると、「行くよ」と職員室を出た。
藤堂先生は、何か言いたげだったけど陽希先輩が強引に出たから聞かれずに済んだ。
「あ、あの。ありがとうございましたっ」
勢いよく頭を下げれば、「ぷっ」と笑った陽希先輩。
「あー、わりぃ。バケツしまいに行くか」
わたしはなぜ笑われたのか分からないまま、バケツと雑巾を返しに行った。
一年と二年の下駄箱はもちろん違う場所にあって、「じゃぁ、あとでここ来るから」という陽希先輩の背中に声を掛けた。
「あ、あの!大野先輩!わたしこの時間なら、一人で帰れますから!ホントに今日は、ありがとうございました!」
そう声を掛けると、一度下駄箱に向かって歩いていた陽希先輩がこちらに向かって歩いてきた。
ちょうど、ドアのところに立ってたわたしは、ドアに背中をくっつけるようにして陽希先輩を見上げる。
そしてゆっくりと陽希先輩の手が、わたしの顔すぐ横に手を付いた。
触れられたわけじゃないのに、全身がドキドキして動けずにいた。
いつも笑顔で優しい陽希先輩とは違う、真剣な顔付き。
「あ、あの…。大野先輩?」
陽希先輩より身長が低いわたしは、自然と上目になった。