大野先輩が好きなんです‼︎【短】
「あ、えと…。バスケ部が終わったら、床掃除を頼まれていまして…」



遅刻して…、とは言えなかった。



だってわたし、初めての遅刻だったし常習犯だと思われたくなくて。



しかも頼まれたんじゃない、罰だ。



だから、藤堂先生の名前も出せなかった。



「ふーん、そっか」



陽希先輩は、何もそれに付いては触れてこなくて。



「あ、あの。わたしムコウに…」



陽希先輩の腕から離れようとすると、更にキュッと握られた。



「それ、俺も手伝うから雑巾もう一枚用意しといて、ね?」



「え、あ、あの!!」



わたしが声を掛けるも陽希先輩はもうアッチへ行ってしまい、何も言えなかった。



仕方なく白石キャプテンの元へ行くと、ニヤニヤしていて。



「ねっ、大野に何言われた?」



目がキラキラしていて、言わざる得なかった。



「えと…、雑巾もう一枚って…」



「は?」



「あ、あの…。床掃除手伝うから、雑巾もう一枚用意してって…」



陽希先輩に言われたことを思い出すと、顔が熱くなる。



「へぇ~。あいつ、そんなこと言ったんだー。んじゃまぁ、ヘタレは訂正しようかな」



ルンルンでまた、「ヘタレ」と使った白石キャプテン。
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