腹黒王子に囚われて
1章 王子の正体
「あー、やっぱいつ見てもカッコいいわー。
新條 瑛太(シンジョウ エイタ)!!」
「んー」
「一度でいいから、デートしたい!
あたしも一回接近してみようかなっ」
「んー」
「……ちょっと!聞いてる?葵!!」
「……ん」
あたしの席の前で、窓辺に向かって一人くっちゃべっていた女子。小林美咲(コバヤシ ミサキ)。
毎日聞き飽きたその言葉に、ただ適当に相槌を打っていたら、片手で持っていた携帯を取り上げられた。
「人がせっかく話してるのに、携帯いじるのってなくない?」
「だってその会話、何十回も聞いてるから」
「う……だって、毎日思うものは思うんだから仕方ないじゃん!!」
「じゃー、早く行って来い。ヤツのもとに」
「あ、こら!」
トンと体を押すと、嫌だと言わんばかりにこっちに戻ってきた美咲。
めんどくさい子だな。
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