腹黒王子に囚われて
何か言ってくるかと思いきや、
彼女はすぐに真顔になるとそのまま俺の前から立ち去ろうとする。
思わず彼女の腕を掴んだ。
口止めをしなくちゃと思って。
だけど……
(べつに。黙るも何も、最初からアンタに興味ないし)
予想外の言葉に、ぽかんと口が開いた。
俺に興味がない……。
それは初めて言われた言葉で……。
彼女の口調と表情から、それが決して強がって言っているようでもなかった。
本当に俺に、まったく興味がない。
そのまま立ち去っていく彼女の背中を見て
俺の中で沸々と闘争心たるものが湧き上がっていた。
それと同時に、一つの提案が浮かんだ。
彼女が……
飯田葵という、
学校でも有名な美少女だったから。