腹黒王子に囚われて
2章 付きまとい
「ちょっと!葵っ!!」
「んー?」
帰りのHRも終わって、鞄に荷物を詰めていると、クラスメートのリカがあたしのもとへやってきた。
「お呼び出し!」
「誰が」
「新條くんっ!!」
「……」
名前を聞いて、一瞬誰のことなのか分からなかった。
ふと教室のドアへ振り向くと、笑顔で手を振る新條瑛太の姿があって……
「うわ……」
そうつぶやかずにはいられなかった。
「いない、って言って」
「いや、アンタ思いきり目が合ってるから」
「……」
それでも、いない、と貫き通したい。
だってなんか、
めんどくさいことがこの先待ってる予感が満載だから……。
「………はあ…」
あたしはあからさまにため息をついて、席を立った。