腹黒王子に囚われて
 
葵との会話は、正直楽しい。

猫なで声で話すこともないし
耳に響かない適度な高音で俺の耳に入り、

新鮮な淡々とした返し。


リズミカルに進む会話が、なんだか素の自分をどんどん引き出せて楽しかった。


そんな中、ちょっとした俺の心の中を探られた気がして
それを打ち消すように、キスしてやった。


絶対にひっぱたかれると思ったのに、唇を離したそこにいたのは
揺らぐことのない真っ直ぐな瞳で俺を見返す葵。

その瞳に、正直面食らった。


しかも、



(キスなんか

 どうってことないから)



なんて言うし。
 
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