腹黒王子に囚われて
 
もしかして葵は、俺が思って入る以上に経験を積んでたり?

なんて思って、ついそれを口にしたら……


葵の顔が歪んだ。


それは、決して触れてはいけない場所のような気がして
軽はずみなことを口走った自分に後悔した。


無理やり帰らされてからも、あの歪んだ葵の表情が忘れられなくて
次の日、朝早く起きて、葵が部屋から出るのを待ってた。



俺がいたことに驚いた葵は、昨日の歪んだ顔を微塵も感じさせないほど普通で
ちょっとだけ呆気にとられた。


しかも……
なんか俺、からかわれてるし。



だけどそのおかげで、
突然見せた、葵の笑顔。



(あたしはやっぱり、
 今のあんたのほうが好きだけどね)



ヤバイって思った。

その顔をした葵の顔が、あまりにも可愛すぎたから……。
 
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