腹黒王子に囚われて
 
葵も最初は俺を拒まなかった。


だから葵が最後まで俺を受け入れてくれるのなら
ちゃんと自分の気持ちを伝えよう、って……。


意地なんか張ってないで
偽りなんかじゃなく、本当の恋人になれるように……。


けど……



(やだぁっ!!!)



あの時、聞いたことのないような声で大声を上げた葵。


あまりにも突然のことに、触れていた指を放した。


目の前の葵は、なんだか何かに怯えているような気がして
これ以上安易に触れてはいけないって思った。


だけどすぐに葵の表情はいつもに戻り、さっきの取り乱した顔が嘘のようにさえ思えるほど。


何か言わなくちゃ、って…

謝る?気持ちを打ち明ける?

そうこう考えているうちに、俺は葵に部屋から追い出された。
 
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