腹黒王子に囚われて
目の前で繰り広げられるその光景に
ただ何も言えなくなって
まるで足が金縛りに遭っているかのように動かない。
男は葵を抱きしめると
そのまま荒々しく葵の唇に口づけ
まるで我が物といったように強く抱きしめている。
ドクンドクン…と
心臓が破裂しそうなほど痛い。
ダメだ…
これ以上、この二人を見てはいけない。
「……っ」
鉛のように重たくなった足を
なんとか引きずるようにして動かし
俺はその場を後にした。
ちくしょう……
胸が痛い。