腹黒王子に囚われて
 
もうすぐ来る……。

あの人が……


拓先輩が……。



この学校に来てしまう。



早く帰らないと、下手したら学校でバッタリ出くわしてしまうかもしれない。

そんなのは絶対に嫌。
だから早く、ここを出ないとっ……。


そう思って、必死に走ったのに……




「……よお」

「…っ…」




まるで待ち伏せていたかのように
滅多に人が通ることのない、裏口に一人の男がいて……




「絶対に、こっから来ると思った」


「……拓……先輩……」




避けたはずの相手が

目の前でにやりと笑った。
 
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