腹黒王子に囚われて
12章 真相
そのまま瑛太はあたしの家へ直行し
無言のまま部屋の中へ入った。
ようやく掴んでた腕の力が弱まり、その腕を自ら解いた。
だから……
「手……痛い?」
逆に、瑛太の手をそっととった。
その手はさっき拓先輩を殴った手で、殴ったほうの瑛太の手も少しだけ赤くなっている。
瑛太はなぜだか泣きそうな顔をすると、
「……」
ぎゅっとあたしを抱きしめた。
その腕は、さっきみたいに力強い腕ではなくて
そっとあたしを包み込むような優しさ。
その温もりが、あたしの凍てついてた心を溶かしていくようで……
「瑛太………
あたし、ね……
昔拓先輩に……」
ずっと胸の中にしまいこんでいた忌まわしい過去を
ぽつりと話し始めた。