腹黒王子に囚われて
昨日のあの一連で、あたしを好きになるとか到底考えられなくて。
これがまた、誰にもモテないような男なら分かる。
けど、目の前にいるのは、女に何不自由しないような男。
あたしだってバカじゃない。
「で?何が言いたいの?
てっとり早く、用件を言って」
「……っく…」
腕を組みながら見据えると、俯いた新條が笑い出す。
そして顔を上げた先にいるのは……
「やっぱそう簡単には騙せねぇか」
「……」
昨日感じた、腹黒い声。
優しさの欠片も微塵に感じさせない、新條瑛太がいた。