腹黒王子に囚われて
 
昨日のあの一連で、あたしを好きになるとか到底考えられなくて。

これがまた、誰にもモテないような男なら分かる。
けど、目の前にいるのは、女に何不自由しないような男。


あたしだってバカじゃない。



「で?何が言いたいの?
 てっとり早く、用件を言って」


「……っく…」



腕を組みながら見据えると、俯いた新條が笑い出す。

そして顔を上げた先にいるのは……




「やっぱそう簡単には騙せねぇか」

「……」




昨日感じた、腹黒い声。


優しさの欠片も微塵に感じさせない、新條瑛太がいた。
 
< 15 / 257 >

この作品をシェア

pagetop