腹黒王子に囚われて
 
家に誰かいると思ったその空間は、誰の気配もなくて
あたしと上沢先輩の二人きり。


少しだけ緊張がはしって、高鳴る鼓動を抑えた。


「これ使って」
「ありがとうございます……」


ふわふわな白いタオルを受け取って、
案内された上沢先輩の部屋で待っていた。


まさか自分が、あの上沢先輩の部屋に入れるなんて……。
学校の女子が知ったら、確実に殺されそうだ……。


なんてことを思いながら、ベッドを背もたれに座った。


遅れて入ってきた上沢先輩は、手にマグカップを持っていて
一つをあたしに渡してくれる。


今日初めて話をした仲なのに
すごい気の利く人だな……。
そりゃ、みんなに人気が出るわけだわ…。

なんてことを思いながら
「ありがとうございます」
とお礼を言って受け取った。
 
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