腹黒王子に囚われて
 
そこから何気ない会話が続いて
マグカップのコーヒーが半分なくなったころだった。


雨はまだ降っていたけど
そこまで長居をしちゃ悪いと思って、帰ろうとした。



「すみません。
 あたしそろそろ……」


と言った腕を、上沢先輩が掴む。

え?と思って振り返った瞬間、
ドクン…と心臓が大きく高鳴った。


あたしを見据えるその瞳は、今まで見せてきた瞳とまるで別人のようで…

優しさも爽やかさも欠片もない
妖艶に満ちた瞳。


思わず固まってしまったあたしに、上沢先輩が口を開いた。



「なんで?
 お楽しみはこれからだろ?」

「……っ」



その瞬間、あたしの体はベッドの上へ押し倒された。
 
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