腹黒王子に囚われて
 
これが……

上沢先輩の本性だった。



みんなにキャーキャー言われて
爽やかに笑顔で対応する上沢先輩はただの上っ面な顔にしかすぎなくて

本当は嫌がる女の子を、
笑いながら犯せる最低な男。


だけど……


きっとあたしにだって非がある。



だから誰にも言えなかった。
誰にも相談できなかった。


言ったところで
家にまでほいほい上がったあたしが悪い。と言われるのが分かってたから。


それに……



「いいなー、葵。
 上沢先輩にあんな想われて」

「……」



あたしが上沢先輩の彼女ということは、校内でも有名になって
上沢先輩があたしを守るものだから、女子からの嫌がらせも特別なかった。
 
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