腹黒王子に囚われて
 
いつの間にか、
その行為に嫌悪を感じることがなくなった。


あたしが、
自分の体の価値をなくしたからだ。


もう自分の体なんて、ただの玩具と同じ。


だから何度抱かれたって
どんなにキスされたって


べつにもうなんとも思わない。



あたしはただの

玩具だから。










「………っ」



気が付くと、
あたしの体は
まだ慣れてはない、温かい温もりに包まれていて……


その温もりが、瑛太のものだと気づいた時
過去へタイムスリップしていた自分が現実に呼び戻された。



「葵っ……」


ああ……

瑛太の匂いだ。
 
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