腹黒王子に囚われて
 
「すげぇ綺麗だけど?」

「んっ……」


至近距離でつぶやかれる言葉に、体に息がかかってピクンと反応してしまう。


「でも……」


瑛太はスカートのジッパーに手をかけて、ゆっくりとおろしていく。


「全部見ないと分かんない」

「やっ……」


そんな台詞を言って、一気にスカートをおろしてしまった。


下着姿だけになって
さらに恥ずかしさが増し、自分の体を隠そうとした。

だけどそれを瑛太の腕が許してくれなくて、



「葵。
 全部見せて。

 葵を抱いてるのは、俺だから」



真っ直ぐと目を見つめる瑛太に、自然と腕の力が抜けた。


あたしを抱いているのは瑛太。

目の前にいるのは……
あたしの好きな人。


それならもう

怖くなんかない。



瑛太は掴んだ腕を外すと、再びあたしの体にキスを落とし続けた。
 
< 164 / 257 >

この作品をシェア

pagetop