腹黒王子に囚われて
13章 君だけに
「……」
「葵?」
「……」
「おーい、葵ちゃーん?」
「……うるさい」
しばらくして、
我に返る自分。
シーツにくるまり、瑛太に背中を向けていた。
今さらになって、自分が発した言葉に後悔。
何であんな恥ずかしい言葉をいっぱい言ってしまったんだろう……。
思い出したくもない。
「葵」
「…っ」
ふいに後ろから引き寄せられて、体がビクッと反応してしまう。
耳元から、フッと笑いをこぼす瑛太の息遣い。
「照れてるの?」
「……べつに」
「耳まで赤いけど」
「……」
分かってるなら、いちいち聞かないでほしい。
その余裕な声がムカつく。