腹黒王子に囚われて
「それで最後の最後……
俺に向けた素の笑顔を見せられて……
落ちた。
人生で初めて、人を心で好きになった」
「……」
その言葉を聞いて、トクントクンと鼓動が高鳴る。
心にぽっと灯りがともったように温かくなった。
瑛太の胸の中で、
もぞもぞと体を動かし、真正面から抱き着く。
「葵?」
「……ありがとう」
今、心から思った言葉。
伝えずにはいられない。
「こんな可愛げのないあたしなんか好きになってくれて……」
「………バーカ」
瑛太はぎゅっとあたしを抱きしめ返し、
「葵は世界中の誰よりも、可愛げがあるっての」
と、再びキスの雨を降らした。