腹黒王子に囚われて
だけど拓先輩は、突然切なげな瞳を向けると、
「葵のこと……
ずっとずっと本気で好きだった。
だけど間違った愛し方しか出来なくて……。
好きという気持ちが大きくなりすぎて、葵を抱くということでしか表現できなかったんだ」
まさか、拓先輩からそんな言葉が出てくるとは思っていなくて
どう答えたらいいのか分からずに戸惑った。
ただ感じているのは
勝手に高鳴っていく鼓動。
戸惑うあたしを見つめる拓先輩の瞳は、
こっちの胸が切なくなるほど悲しげに見えて……。
間違った愛し方……。
もしもそうだとしたら……
「なんて言えば、よかった?」
にやりと、悪魔の微笑みが見えた。