腹黒王子に囚われて
「っ……」
突然の、噛みつかれるようなキス。
急なことに思考回路がついていかなくて、目を見開いたまま目の前の拓先輩を見上げる。
拓先輩はうっすらと目をあけると、
さっきまで見えた悲しげな瞳はどこにもなくて、
「…ふっ……っ」
勝ち誇ったかのような瞳を向けると
あたしの意思を無視して、無理やり舌をねじ込ませてきた。
「やっ……!!!」
なんとか力を振り絞って、拓先輩の体を押す。
その体がようやく離れ、自分の口元をぬぐった。
「その言葉が聞きたかったんだろ?」
「な……」
拓先輩は、舌なめずりして、くくっと笑う。
そして離れたあたしの腕を、もう一度引っ張り、その顔を寄せてきた。
「男なんてな……、
ヤるためなら、いくらでも愛の言葉を囁けるんだよ」