腹黒王子に囚われて
「葵は買い物してたんだっけ?小林さんと」
「そー」
「何か買ったの?」
「何も」
そんなやりとりをしながら、瑛太はあたしを後ろから抱きしめてきて
頭にちゅっとキスをされてるのが分かった。
「葵の私服ってどんななの?」
「べつに。部屋着と変わんない」
「スカート履いてよ」
「……やだ」
「なんで?」
「制服で着てんじゃん」
あたしの答えなんて、最初から分かっていたかのように、頭上でくすくすと笑い声が聞こえる。
少しだけムッとして、顔をあげたら……
「ん……」
降ってきたのは、瑛太のキス。
いつものキスだからと、拒むことはしないで、
開いていた瞼を閉じた。
それが合図とともに、瑛太の舌があたしの中に入ってきて
応えるように自分のを絡ませる。
やっぱりキスは
瑛太とじゃないと嫌。
素直にそう感じた。