腹黒王子に囚われて
 
「あのねー。
 あたしは葵みたいに、美人じゃないから、そう簡単には行けないの!」

「……美人じゃない」

「何言ってんの、有名じゃん。
 入学当初から、超美人がいるって騒がれた飯田葵(イイダ アオイ)ちゃん」

「だけど、性格に問題アリ、ってね」

「そー。って自覚あるんかいっ」


続けて噂になっている言葉を自分で言ったら、切れのいい突っ込み。

ほんと、一日のテンション高いなー。


「葵って、恋愛とかに興味ないの?
 告ってくる男子、バッサバサと切っちゃってさ」

「別に恋愛に興味ないわけじゃない。
 その男子に興味がないだけ」

「あーもーー……」


素直に答えてるのに、目の前の美咲は頭をかかえていて、そんな様子をただ無表情で見つめる。


「……やめて。
 そんなふうに見つめられると、ドキドキしちゃう」

「……」

「あ、こら。無言で逸らすな!」

「……はあ…」


やっぱこの子、めんどくさいわ。
 
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