腹黒王子に囚われて
 
(今度また、
 みんなの前で告白してやるから。

 迎えに来たってな)



あの時の意味が、だんだんと分かってきた。


拓先輩は、周りから攻めてる……。

あたしが逃げられないように……。


だけどそんなことで、あたしの気持ちは揺らがない。



「リカ……。

 でもあたしは、今は瑛太の彼女だから。


 瑛太以外の人はいらないの」




それが本心だけど
心の中では、嫌な不安がいっぱい降り積もっている。


あたしは瑛太が好き。

だけど信じ切れてたはずの瑛太の気持ちが、どこか穴が開いてしまったかのように漏れていて……。




「そんな顔で言われても、説得力ないよ」




体に沁みこんだ、男の欲望というものが消し去らない。
 
< 201 / 257 >

この作品をシェア

pagetop