腹黒王子に囚われて
 
結局あれからどうしようもないまま、あたしは教室を出た。

あたしがリカを慰めたところで、それはなんの意味ももたないと分かったから。


一人校舎を出て、
裏口へ向かっていると……


「どう?分かった?」

「…っ」


まるで待ち伏せていたかのように、
拓先輩が校舎裏の壁にもたれかかっていた。


「……何が…ですか……」

「新條の気持ち。
 お前のこと、結局ただの性欲の対象としてしか見てなかっただろ」

「そんなことっ……」

「ねぇの?
 本当にそう言いきれんの?」

「……」


ない。って心の中では叫んでいるのに、
言葉としてうまく出てこない。


拓先輩は不敵な笑みを浮かべると、あたしとの距離を縮めた。
 
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