腹黒王子に囚われて

17章 挑発

　
抱かれることに
いくらかの抵抗を抱いている葵。


過去を知って、それは十分理解出来た。


だからと言って、
自分の好きな女が、無防備に俺を好きと伝えてくる姿を見て
自分を抑えられるほど俺は大人なんかじゃなくて……


だけど怖がる葵を押さえつけて
無理やり抱いたら絶対に後悔するってのは目に見えてるから……。


なるべく葵を傷つけないように……
儚い大事なものを守るように……


自分が冷静になるまで、少しだけ葵と距離を置こうと思った。



気持ちが通じ合ったばかりの今は、やっぱり舞い上がってしまうのは当たり前で
目と目が合えば、キスをしたくなる。

キスをすれば、その先をしたくなる。



だから葵の傷がもう少しだけ癒えるまで……

俺がもう少し冷静さを保ってやれるまで……


俺自身から
葵を守るんだ。