腹黒王子に囚われて
 
「……それは葵が決めることです。

 俺らがとやかく言うことじゃない」


ぎりっと拳に力を入れて、殴りかかってしまいそうな自分を抑える。

そんな様子の俺に、上沢は苦笑すると、



「そうだよなぁ……。

 葵に決めさせないと」



と俺との距離を縮めてきた。


近づいてきた上沢に、少しだけ構えて睨みあげる。

上沢は顔を寄せてくると、



「アイツ……。

 いい声で鳴くだろ」


「…っ」



俺にしか聞こえない、小さな声で挑発してきた。
 
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