腹黒王子に囚われて
葵が俺の家に来るのは、俺が熱を出した時以来。
ほとんど葵の家で過ごすので、ここにはあまり踏み入れさせたことはなかった。
まだ慣れない俺の家で、きょろきょろとする葵の姿は
やっぱり俺には無防備に見えて、手のひらをぎゅっと握る。
ダメだ……
アイツの挑発になんか乗っちゃ……。
部屋の中は少し暑くて
葵は着ていたブレザーを脱ぐ。
いつも着てるセーターはなくて
薄手のワイシャツのみ。
「……今日、セーターは?」
「え?ああ、今日はそんな寒くなかったから……。
セーターは着てきてない」
「そっか」
だからと言って、その格好は無防備すぎる。
うっすらと下着が透けて見えて
俺の中の欲望が、ふつふつとわき上がっていく。
そんな俺の気なんか知らずに、葵は俺のすぐ横に腰をかけた。