腹黒王子に囚われて
一人残された俺は、
「くそっ……!!」
ダンッ!と壁を殴った。
静寂に包まれた部屋に、響く殴られた音。
拳がじんじんと痛むけど
きっと葵の心のほうがずっと痛い……。
「俺は……最低だっ……」
今日という日ほど、
自分がしたことを悔いたことはなかった。
結局今自分がしたことは
あの男がしたことと変わらなくて……
力でねじ伏せて
葵を抱こうとした。
震えているのは……
俺の手も同じだ。