腹黒王子に囚われて
「……」
ああ…
ついに爆弾を落としやがったあの男。
あの日帰ってからやけにおとなしくしてると思いきや、そんな噂がいつの間にかたてられ……。
経緯を聞いてみたら、こうだった。
(あのっ……新條くんっ、好きです!)
(ごめんね。君の気持ちは嬉しいけど……
俺、好きな子いるから)
(え!それって……この学校の人、ですか……?)
(うん。飯田葵さん)
どうやら、新條は、告白してくる女子にあたしの名を出して断っていたらしい。
そのせいで、いっきに噂が広まり、あたしは学校内での有名人に……。
「で?付き合ってるの!?」
「付き合ってない」
「えー!なんでなんで!?
あの新條くんから告白されて、付き合わない女子とかっているの?」
「……」
みんな騙されてるからだよ。あの腹黒男に。
だけどきっと、それを言ったところで誰も信じないだろう。