腹黒王子に囚われて
次の日目を覚ましたら
なんだか世界が白黒に見えた。
ああ…なんだろう、この感覚……。
すごく懐かしい。
周りは笑っているのに
あたしだけが「笑顔」というものから無縁に見えて
鮮やかなはずの世界が白黒にしか見えない。
この世界は
あたしが拓先輩と無理やりつき合わされていた時の世界だ……。
学校に着いて、
いつもと同じように美咲たちと話す。
何も変わらない。
いつもと同じ日常。
教卓の前の先生。
居眠りをする生徒。
お弁当にいい匂い。
午後の眠気。
全部全部いつもと同じ。
だけど……
愛がない。