腹黒王子に囚われて
「葵、帰ろう」
差し出される手を、叩きたくもなった。
けど、結局
再び拓先輩に囚われそうになったところを助けてもらったんだし……
「……」
悔しいと思いながらも、
その手に自分の手を重ねた。
やっぱりその途端に盛り上がるのは
あたしたち本人ではなく、周りで野次を作っている生徒たちで……。
「早く行こ」
「はいはい」
あたしは逃げるように、瑛太の腕を引いて校舎を出た。
明日から学校来るの……
憂欝。
そう思いながら……。