腹黒王子に囚われて
最終章 触れたい
当たり前のように、瑛太は家にまで着いてきて、
あたしを後ろから抱きしめるように座っている。
すっごいやりづらい。
「近い」
「え、やだ?」
「……やじゃないけど……」
「じゃあ、いいじゃん」
と言って、首に顔をうずめている。
「葵の匂い」
「やめろ、変態」
「やだ」
やめるどころか、腰に回す手の力が強くなって、
首元にかかる瑛太の息に、ピクンと反応してしまった。
「ビクっ、だって。
葵可愛すぎ」
「……いいから離れて!!」
「絶対に嫌」
断固として離れない瑛太に、力づくにでも体を引きはがそうと思った。
けど、それを止めるかのように、急に瑛太の声が弱まる。
「これくらい許して」
その声に、引きはがそうとした手の力が緩んだ。