腹黒王子に囚われて
「瑛太ー、課題見せてー」
「自分でやれ。バカ」
ふと、隣のクラスの前を横切るとき
そんな声が聞こえた。
ちらりと見た先には、男友達に囲まれた瑛太の姿があって
「マジかよー……頼むよ、瑛太さまー……」
「うーるーせー」
なんて、じゃれ合っている。
「最近、新條くんの印象変わったよね」
「え?」
クラスを通り過ぎると同時に、隣を歩いていた美咲がそんなことを言いだした。
「結構噂になってるよ。
白馬に乗った王子様の印象が、黒い馬に乗ってきた騎士みたいだって」
「何それ……」
「だいぶ、ダークな面が出てきたってこと」
それを聞いて、なんだか笑いそうになった。