腹黒王子に囚われて
 
 









「瑛太ー、課題見せてー」

「自分でやれ。バカ」



ふと、隣のクラスの前を横切るとき
そんな声が聞こえた。


ちらりと見た先には、男友達に囲まれた瑛太の姿があって


「マジかよー……頼むよ、瑛太さまー……」
「うーるーせー」


なんて、じゃれ合っている。



「最近、新條くんの印象変わったよね」
「え?」


クラスを通り過ぎると同時に、隣を歩いていた美咲がそんなことを言いだした。


「結構噂になってるよ。
 白馬に乗った王子様の印象が、黒い馬に乗ってきた騎士みたいだって」

「何それ……」

「だいぶ、ダークな面が出てきたってこと」


それを聞いて、なんだか笑いそうになった。
 
< 246 / 257 >

この作品をシェア

pagetop