腹黒王子に囚われて
いつもみんなに笑顔で対応して
どんなことも受け入れていた瑛太。
まるで少女漫画のキャラクターのように、キラキラとしていた瑛太は、それが崩れてきている。
いや、自ら崩したと言ったほうが正しい。
(やっぱり、俺も葵みたいに正直に生きたいわ)
なんてことを、前に漏らしていた。
とはいえ、瑛太の持つ優しさは
決して偽善なんかじゃない。
口は悪くなったし、嫌なことはきっぱりと断るようにはなったけど
「ひゃっほー!
さすが瑛太!!」
「いや、教えるだけだから」
「それでもいい!俺一人だったら、丸一日かかってもわかんねぇし!!」
廊下まで響いた、瑛太のクラスの声。
こうやって、友達を突き放すようなことはしない。
きっと偽善だけの優しさだったら
こんなにもたくさんの生徒に慕われてなんかいなかった。
瑛太の持つ、本物の優しさが
人を寄せ付けていたんだ。