腹黒王子に囚われて
そんなこんなで、
瑛太のリクエストもあって、今日は完全に和食。
肉じゃがに、ほうれん草のおひたし。
まいたけご飯に、焼き鮭。
豆腐とわかめの味噌汁。
普段、一人だったらここまで平日にフルで揃えないだろう。
けど、作るからにはバカにされるのは嫌だからと、多少めんどくさくても主食副食、全部作ってやった。
「すげぇ……」
テーブルに並べられた料理を見て、素直に感激している瑛太。
なんだかそんな瑛太を見るのは新鮮で、
嫌味の一つでも言われたら殴ってやろうと思ったけど、そんな気配とかなかった。
「いただきます」
あたしが席についたところで、手を合わせ挨拶。
そして綺麗に握られた箸で、肉じゃがをつついた。
「………うま…」
小さく漏らした声。
大げさじゃないその反応が、本心から出た言葉なんだと伝わった。