腹黒王子に囚われて
顔を出してはいないから、相手がどこの誰かなんて分からない。
だけど声の印象的に
男の人の声はすごく綺麗だと思った。
しばらくして、女の人の「うっ…」という嗚咽が聞こえ、
パタパタとこっちに駆けてくる音が。
マズイ…。
人に聞かれてた、って思ったら、この子は恥ずかしいだろう…。
と思い、咄嗟に木の陰に身を隠した。
走り去った女の子は、ふわふわのパーマがかかった、いかにも女の子らしい子で
男目線ではこういった子って、モテるんじゃないの?なんて思ったけど
結局告白の返事はNOで。
ま、あたしには関係ないけど。
そろそろ出て行っても、告白の場面に出くわしたなんて思われないだろう。
何食わぬ顔で、今度こそ、校舎裏に出て行こうとした。
「………あー、うぜぇ」
一歩踏み出したとともに聞こえてきたのは、
さっきの物腰が柔らかそうな声とは一変した声で……
一瞬、別人に入れ替わったのかさえ思った。